ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の調整が完了。試運転ののち夏に科学運用開始へ

2021年末に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の調整が完了し、最終準備段階に進むことになったとNASA(アメリカ航空宇宙局)が発表しました。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に搭載されている4つの観測装置について鮮明で焦点の合った画像を撮影できることが確認されており、画質は物理的に可能な限り良好だとのことです。

こちらは大マゼラン銀河の一部の領域をとらえた試験画像です。画面内の各画像のサイズと位置は、望遠鏡の焦点面での各装置の相対的な配置を表しています。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はNIRCam(近赤外線カメラ、波長2μm)、NIRISS(近赤外線画像装置・スリットレス分光器、波長1.5μm)、MIRI(中間赤外線装置、波長7.7μm)という3つの撮像装置で、波長の異なる画像を撮影します。またNIRSpec(近赤外線分光器)という分光装置も、ここに示した波長1.1μmの画像を撮影することができます。

ファインガイダンスセンサーは、基準星を追跡することで望遠鏡を正確に目標へ向けるために使われます。このセンサーは通常、科学観測には使われませんが、上の画像のような較正画像を撮影することが可能です。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡では今後、科学観測装置の試運転が行われます。望遠鏡の向く方向により望遠鏡に当たる太陽放射の総量が変化しますが、試運転の一環として、望遠鏡をさまざまな方向に向けるようコマンドを送り、ターゲットを変更した際の熱的安定性の確認などが行われることになっています。また2日間ごとにメンテナンス観測を行って鏡の調整をモニタリングし、必要に応じて補正を行うとのことです。

2か月かけて試運転を行ったのち、2022年夏にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の科学運用がスタートする予定になっています。

Image Credit: NASA/STScI

(参照)James Webb Space Telescope - NASA Blogs