この画像は、アルマ望遠鏡が若い星団形成領域OMC-2の「FIR 3」「FIR 4」と呼ばれる一画をとらえたものです。OMC-2は、地球から最も近い巨大分子雲であるオリオンA分子雲の中にあります。塵からの電波にオレンジ、一酸化炭素(CO)ガスに赤、一酸化ケイ素(SiO)ガスに青を割り当てて色合成しています。
ガスと塵からなる分子雲コアの中で生まれた原始星からは、両極方向に分子ガスが噴出します。双極分子流と呼ばれる分子ガスの流れは、原始星のサイズの100万倍以上もの大きさに広がることがあります。冒頭の画像では、巨大な双極分子流が、原始星の材料となる高密度ガスや塵と衝突しているようすがとらえられています。
こちらは冒頭の画像に文字を加えたものです。緑色の★印はFIR 3領域の原始星の位置、緑の破線の円はFIR 4領域で、その中には原始星の候補天体がいくつか存在しています。青白く見えている部分(一酸化ケイ素)は、FIR 3領域にある原始星から噴き出した双極分子流が、複数の若い星が密集するFIR 4領域に激しく衝突している部分です。また、FIR 3領域の原始星からの分子流が周辺の高密度物質(塵を示すオレンジ色の部分)と衝突し、分子流の端が圧縮されているようすもとらえられています。
こちらは画像にとらえられた場面の想像図です。
研究を主導した九州大学の大学院生、佐藤亜紗子氏は今回の観測結果について、「双極分子流が衝突した星団形成領域内のガスや塵を揺さぶり、星が生まれる環境がかき乱されている可能性が示されました」と語っています。
Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), A. Sato et al.
(参照)アルマ望遠鏡