観測史上、最も小さく、最も質量の大きな白色矮星が発見されました。この白色矮星は質量の小さな2つの白色矮星が合体してできたもので、直径約4300km、太陽の1.35倍の質量を持つと見られています。「太陽より大きな質量を月と同じくらいの大きさに詰め込んでいます」と、研究論文の筆頭著者であるカリフォルニア工科大学のIlaria Caiazzo氏は述べています。「直感に反するかもしれませんが、白色矮星は小さいほど質量が大きくなる」とのことです。
白色矮星は、太陽の8倍程度より小さな質量の恒星の最期の姿です。太陽の場合、約50億年後に赤色巨星となった後、外層部のガスが放出されて白色矮星が残ります。太陽は単独の星ですが、宇宙にある恒星の多くは連星で、他の星とペアになって互いの周りを回っています。2つの星がどちらも太陽の8倍以下の質量であれば、連星の2つの星が白色矮星へと進化します。
2つの白色矮星は、互いの周りを螺旋状に回りながら、重力波の形でエネルギーを失って最終的に合体します。このとき、質量が大きければIa型超新星爆発を起こしますが、ある一定の質量(チャンドラセカール質量)以下の場合、合体してより質量の大きな白色矮星となります。この合体の過程で星の磁場が強くなり、元の星に比べて自転速度が上がります。
今回発見された「ZTF J1901+1458」と名付けられた白色矮星は、2つの白色矮星が合体して太陽の1.35倍の質量の白色矮星となったものです。この白色矮星は、太陽の10億倍強い磁場を持ち、7分間で1回転しています。
Caiazzo氏は、この白色矮星が中性子星に進化する可能性がある考えています。もしそれが正しければ、中性子星の多くは同じように形成されるのかもしれないとのことです。
(論文)A highly magnetised and rapidly rotating white dwarf as small as the Moon