「猫の手星雲」をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影 観測3周年記念画像が公開された

この画像は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の科学観測3周年を記念して公開されたもので、さそり座の方向、約4000光年の距離にある星雲NGC 6334の一部の領域が映っています。NGC 6334全体を可視光で見ると猫の肉球のように見えることから、英語では「Cat’s Paw Nebula(猫の手星雲)」と呼ばれています(日本では「出目金星雲」と呼ばれます)。

画像は、NGC 6334の一つの「肉球」のごく一部をNIRCam(近赤外線カメラ)でとらえたものです。まるで小さな「肉球」を思わせるような、塵で囲まれた円形構造がいくつか見られます。それらは若い大質量星が、周囲のガスと塵の雲を削り取ることで形成されました。またその星の光が、青く見えている星雲の輝きを生み出しています。

画像上部に見られる大きな円形構造では、複数の塵の雲が層状になっています。そのすぐ左に、音叉のような形をした暗い領域が見られます。奥にある星の光をさえぎるほど塵が密集しており、その中では形成途中の星が存在しているとみられます。画像中央付近、茶色い塵の中に、燃えるような赤い小さな塊が散在しています。そこでは星形成が進行中です。

左下側の円形構造の下の方に、塵が密集した小さな塊状の領域が見られます。それらは大質量星の強烈な放射にもかかわらず生き残ったもので、星を形成するのに十分な密度を持っていることを示唆しています。

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こちらはNGC 6334へズームインしていく映像です。さそり座の中でのNGC 6334の位置や、NGC 6334の中での冒頭の画像の位置などがわかります。故・藤井旭さんの写真から始まり、次にDSS(Digitized Sky Survey)の画像が表示されます。その後、ESO(ヨーロッパ南天天文台)で撮影されたNGC 6334の可視光画像が表示され、最後にさらにズームインしていってウェッブ望遠鏡の画像が表示されます。Credits: Video: NASA, ESA, CSA, STScI, Danielle Kirshenblat (STScI); Acknowledgment: VISTA, Akira Fujii, DSS

冒頭のウェッブ望遠鏡の画像のオリジナルは、11055×12138ピクセルもある巨大な画像です。こちらの映像では、画像の細部を見ることができます。Credit: ESA/Webb, NASA, CSA, STScI, N. Bartmann (ESA/Hubble); Music: Stellardrone - Twilight

こちらはウェッブ望遠鏡の画像に映っている領域を、三次元的に視覚化した映像です。Credits: Producer: Greg Bacon (STScI), Frank Summers (STScI); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI); Music: Joseph DePasquale (STScI);Designer: Ralf Crawford (STScI), Leah Hustak (STScI), Christian Nieves (STScI), Alyssa Pagan (STScI); Image: NASA, ESA, CSA, STScI, VISTA

(参考)
地球から最も近い星形成領域「へびつかい座ロー」 ウェッブ望遠鏡1周年記念画像
ペンギンと卵のような相互作用銀河Arp 142 ウェッブ望遠鏡の科学観測2周年記念画像
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Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI

(参照)Webb Space TelescopeESA/Webb