すばる望遠鏡がとらえた2つの「くらげ銀河」

この画像には、くらげの触手のようにガスをたなびかせる銀河が2つ映っています。画像中央やや上にあるNGC 3312と、やや下にあるNGC 3314の2つです。画像は、ハワイ島のマウナケア山頂付近にある「すばる望遠鏡」の超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)で撮影されました。

これらの銀河は、うみへび座銀河団に属しています。銀河団内を運動する際、銀河団ガスの圧力をまるで風のように受けて、それぞれの銀河の内部のガスがはぎ取られ、淡いフィラメント上の構造が右下方向にたなびいています。このような現象は「動圧(ラム圧)によるガスのはぎ取り」と呼ばれます。

下側に映っているNGC 3314は、2つの銀河が重なって衝突しているかのように見えています。実際には2つの銀河までの距離は異なっており、方向が偶然同じであるため重なって見えているだけです。「くらげ銀河」として見えているのは、手前にあって正面を向いているNGC 3314aで、斜めに見えている渦巻銀河NGC 3314bはその奥にあります。

すばる望遠鏡は、ハワイ島のマウナケア山頂付近に設置されている、口径8.2mの巨大望遠鏡です。すばる望遠鏡は、1999年1月のファーストライト以来、2024年で25周年を迎えました。25周年を記念して、国立天文台は2024年4月から毎月2枚ずつ、すばる望遠鏡が撮影した天体画像を紹介しています。今回紹介した画像は、2024年9月4日に、すばる望遠鏡のウェブページで紹介されたものです。

(参考記事)
すばる望遠鏡がとらえたクラゲのような銀河「JO204」
偶然重なってみえる2つの銀河(NGC 3314)

Image Credit: 国立天文台

(参考記事)
すばる望遠鏡25周年記念画像

(参照)すばる望遠鏡