ヘリウム星からの降着によるIa型超新星爆発を初観測 電波も初検出

伴星からヘリウムが主成分の物質が流れ出し、白色矮星に降着するようすの想像図。今回の研究は、スウェーデンのストックホルム大学や、日本の国立天文台の研究者からなる研究チームによるものです。Image Credit: Adam Makarenko/W. M. Keck Observatory
伴星からヘリウムが主成分の物質が流れ出し、白色矮星に降着するようすの想像図。今回の研究は、スウェーデンのストックホルム大学や、日本の国立天文台の研究者からなる研究チームによるものです。Image Credit: Adam Makarenko/W. M. Keck Observatory

超新星にはいくつかのタイプがありますが、Ia型超新星は白色矮星が爆発して明るく輝くものです。伴星のガスが降り積もる(降着する)などによって、白色矮星の質量がある値を超えた際に爆発します。降着する物質は多くの場合は水素が主成分ですが、伴星が水素の外層を失っている場合はヘリウムが主成分のこともあります。

伴星から流れ出す物質からなる星周物質に包まれた白色矮星が超新星爆発を起こすと、星周物質内で衝撃波が生じて電波が放射されると考えられています。しかしこれまでその電波が検出されたことはありませんでした。

ストックホルム大学などの研究チームは、2020年に発見されたIa型超新星2020eyjを観測。ヘリウムが主成分の星周物質に包まれていることを明らかにし、さらに電波の検出にも成功しました。今回の観測は、最外層の主成分がヘリウムの伴星からの降着によって生じたIa型超新星爆発をとらえた初めての例となりました。

Credit: Adam Makarenko/W. M. Keck Observatory

(参照)国立天文台Stockholm University