恐竜絶滅の時期、地球に衝突した小天体は1つではなかった!?

かつて恐竜が絶滅したのは、今から約6600万年前に直径10kmほどの小惑星がメキシコのユカタン半島付近に衝突したことが原因ではないかと考えられています。その衝突によってできたクレーターは「チクシュルーブ・クレーター」と呼ばれています。

イギリス、ヘリオット・ワット大学のUisdean Nicholson氏らの研究チームは、北大西洋の海底下に、チクシュルーブ・クレーターと同じ時期に形成された可能性のあるクレーターを新たに発見したとする研究を発表しました。近くにある海山にちなんで「ナディール・クレーター」と名付けられたこのクレーターは、西アフリカのギニアの約400km沖合で海底下数百mに埋もれています。

ナディール・クレーターは、大西洋の海洋底拡大に関する研究プロジェクトで、海洋底の地震波のデータを調べていたときに偶然発見されたものです。海底下に直径8.5kmほどのくぼんだ構造が見つかり、中央丘も見られました。クレーターの外側には衝突による噴出物らしき堆積物が数十kmにわたって広がっていることもあり、火山などによるものではなく衝突クレーターだと考えられています。

スポンサーリンク

直径約400mの小惑星が衝突か

コンピュータシミュレーションによるとナディール・クレーターは、水深約500m〜800mの海に直径約400mの小惑星が衝突して形成されたことが示唆されています。チクシュルーブ・クレーターを形成した衝突より規模は小さいものの、800mの水柱ができるなど局地的に大きな影響を与えたと見られています。

ナディール・クレーターを形成した小惑星は、チクシュルーブ・クレーターを形成した小惑星が分裂したものかもしれません。あるいはそれら2つの小惑星は、小惑星帯で起きた衝突現象により生じた小惑星群の一部なのかもしれません。もちろん、単なる偶然だった可能性もあります。もし偶然でなかったとしたら、同じように形成されたクレーターが他にもある可能性も出てきます。

正確な衝突時期については、データの解像度の制限により不確実性が残っています。研究チームは衝突クレーターであることを確認し、正確な年代を調査するため、海底を掘削する資金を申請しているとのことです。

Image Credit: NASA/Don Davis

(参照)University of ArizonaThe Conversation