小惑星帯にある42個の小惑星を一挙観測し、詳しい形状が判明

火星軌道と木星軌道の間には、小惑星が多く存在する「小惑星帯」と呼ばれる領域があります。この画像は、小惑星帯にある天体の中で比較的大きな42個を撮影したものです。ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)に取り付けられた「SPHERE」という観測装置を使い撮影されました。

探査機が訪れたことがある小惑星帯の小惑星は多くありません。詳しい観測も少なく、これまで多くの小惑星は詳しい形状や密度などはよくわかっていませんでした。

撮影された天体の中で最大のものは、画像左上にある直径約940kmの準惑星セレス(Ceres)、2番目は約520kmの小惑星ベスタ(Vesta)です。セレスは小惑星帯で最大の天体です。撮影された中で小さなものは、直径約90kmのウラニア(Urania)とアウソニア(Ausonia)です。小惑星帯には200km以上の天体が23個ありますが、そのうち20個が撮影されました。なお3番目に大きなパラス(Pallas)については、SPHEREで2方向から撮影した画像をアストロピクス紹介したことがあります。

セレスやヒギエア(Hygiea)のようにほぼ球形のものがある一方で、クレオパトラ(Kleopatra)のように細長い形状をしているものもありました。クレオパトラについては、さまざまな角度からSPHEREでとらえた画像をアストロピクスで紹介したことがあります。

小惑星の形状と質量の情報を組み合わせることで、天体によって密度が大きく異なることもわかりました。密度の低いランベルタ(Lamberta)やシルビア(Silvia)など4つの小惑星の密度は、1cm3あたり1.3グラムで石炭と同程度でした。一方、密度の高いプシケ(Psyche)やカリオペ(Kalliope)は、それぞれ1cm3あたり3.9グラムと4.4グラムで、ダイヤモンドの密度よりも高くなっています。密度の違いは、小惑星の組成が大きく異なることを示唆しています。

セレス(左)とベスタ
セレス(左)とベスタ
アウソニア(左)とウラニア
アウソニア(左)とウラニア
シルビア(左)とランベルタ
シルビア(左)とランベルタ
プシケ(左)とカリオペ
プシケ(左)とカリオペ

Image Credit: ESO/M. Kornmesser/Vernazza et al./MISTRAL algorithm (ONERA/CNRS)

(参照)ESO