連星系で惑星はどのように形成されるのか?

ケンタウルス座α星Bを周回する惑星の想像図。左下にはケンタウルス座α星Aが描かれています。Image Credit: ESO/L. Calçada/Nick Risinger (skysurvey.org)
ケンタウルス座α星Bを周回する惑星の想像図。左下にはケンタウルス座α星Aが描かれています。Image Credit: ESO/L. Calçada/Nick Risinger (skysurvey.org)

複数の恒星からなる連星系の周囲でも、太陽系外惑星は発見されています。そのような連星系で、惑星がどのように形成されるのかに関する研究成果が、ケンブリッジ大学とマックス・プランク地球外物理学研究所の研究チームによって発表されました。

研究チームは、大きな恒星の周りを伴星が約100年で周回するタイプの連星系について研究しました。太陽系でたとえていえば、天王星〜海王星あたりの位置に第2の小さな太陽があるような連星系です。太陽の隣にあるケンタウルス座α星は、そのような連星系の例です。

恒星を周回する惑星は、若い星のまわりにある「原始惑星系円盤」と呼ばれるガスと塵の円盤で形成されると考えられています。円盤の中で塵粒子同士がくっついていき微惑星となり、やがて惑星へと成長していきます。

ただし連星系での惑星形成は複雑だとケンブリッジ大学のRoman Rafikov氏は言います。「連星系では伴星が巨大な泡立て器のように働いて、原始惑星系円盤をダイナミックに刺激するのです」。

「単一の恒星の原始惑星系円盤では、円盤内の粒子は低速で動くので衝突するとくっついて成長していきます」とマックス・プランク地球外物理学研究所のKedron Silsbee氏。「しかし連星系では伴星の重力による『泡立て器』効果のため、固体粒子は互いにより速い速度で衝突します。そのため衝突すると壊れてしまうのです」。しかし実際に発見されているので、連星系でも惑星は形成されるはずです。

Rafikov氏とSilsbee氏はモデルを作ってシミュレーションを行い、連星系での惑星形成について調べました。モデルによると微惑星のサイズが少なくとも直径10km以上で、原始惑星系円盤自体が円形に近いものであれば、連星系でも惑星が形成されます。それらの条件が満たされると、円盤内のある部分に存在する微惑星は相対的にゆっくりと移動し、互いを破壊することなく、くっつくとのことです。なお今回の発見は、「ストリーミング不安定性」と呼ばれる微惑星の形成に関するメカニズムが、惑星形成の過程において不可欠なものであることを支持しているといいます。

(論文)Planet formation in stellar binaries: Global simulations of planetesimal growth
(参照)University of Cambridge