ソーラー・オービターが3つの機器でとらえたコロナ質量放出の動画が公開された

太陽観測衛星ソーラー・オービターが、搭載している3つの観測機器を使って、2021年2月12日から13日にかけて発生したコロナ質量放出(CME)をとらえました。CMEは、太陽の上層大気であるコロナから、大量のガス(プラズマ)が一気に惑星間空間へ放出される現象です。

ソーラー・オービターはNASA(アメリカ航空宇宙局)の協力を得たESA(ヨーロッパ宇宙機関)のミッションで、2020年2月に打ち上げられました。地球近傍から太陽観測を行うのではなく、太陽を周回しながら観測を行います。2021年11月から始まる本格的な科学ミッションに向けて、観測機器のチェックなどが行われています。

2021年2月10日、ソーラー・オービターは太陽の近日点を通過しました。その際にも観測が行われ、機器の設定の確認などが行われました。映像は近日点通過の2日後に撮影されたものです。

映像はソーラー・オービターの極端紫外線撮像装置(EUI)で撮影された太陽の全体像からスタートします。CMEは左下の円で囲まれたところで発生しました。EUIのこれらの画像は、CMEが最初に宇宙空間へ飛び出したときの太陽コロナの下部を示しています。

映像は次に、コロナグラフMetisでとらえた画像へ移ります。コロナグラフは、太陽を隠すことで太陽表面からの光をさえぎり、周囲に広がる暗いコロナを観測する装置です。Metisの視野には、太陽半径の2.9〜5.6倍ほどに広がったCMEと引き続く小規模な噴出がとらえられています。

映像はさらにズームアウトし、太陽半径の8.5〜45倍の範囲をとらえた太陽圏撮像装置(SoloHI)の画像が映し出されます。その画像には、太陽から宇宙空間へ放出された荷電粒子の流れである太陽風がとらえられています。

Credit: Solar Orbiter/EUI Team/Metis Team/SoloHI team/ESA & NASA

(参照)ESA