はやぶさ2の目標天体は従来の推定より小さく自転速度も速いことが判明 | アストロピクス

はやぶさ2の目標天体は従来の推定より小さく自転速度も速いことが判明

2020年12月に小惑星リュウグウのサンプル(試料)を地球へ届けた「はやぶさ2」は現在、新たな目標天体である小惑星1998 KY26へ向かっています。1998 KY26はこれまで、直径が30±10mで、10.7分で自転していると推定されていました。今回、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)などによる観測から、1998 KY26はそれよりも小さく、自転速度もさらに速いことが明らかになりました。

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従来の推定と比べサイズは約3分の1で約2倍速く自転している

1998 KY26にタッチダウンしたはやぶさ2の想像図。探査機と小惑星(直径11m)の縮尺を合わせてあります。Image Credit: ESO/M. Kornmesser. Asteroid: T. Santana-Ros et al. Hayabusa2 model: SuperTKG (CC-BY-SA).
1998 KY26にタッチダウンしたはやぶさ2の想像図。探査機と小惑星(直径11m)の縮尺を合わせてあります。Image Credit: ESO/M. Kornmesser. Asteroid: T. Santana-Ros et al. Hayabusa2 model: SuperTKG (CC-BY-SA).

新たな観測によると、1998 KY26の直径は従来の推定の3分の1ほどの約11m、自転周期は従来の推定より2倍速い約5分であることが分かりました。はやぶさ2が太陽電池パドルを展開したときの最大幅が6mですから、1998 KY26はその2倍弱のサイズということになります。また表面が明るく、おそらく惑星か別の小惑星の破片とみられるかたい岩石の塊からなることも分かりました。ただ1998 KY26が、岩塊が集まったラブルパイル天体である可能性を完全に排除はできていないようです。

はやぶさ2の1998 KY26への到着は2031年に予定されています。到着後は1998 KY26の近くにとどまり、ターゲットマーカーの投下や表面へのタッチダウンなどが試みられる可能性もあります。ただ高速自転する小さな小惑星へのそれらの試みは難しく、かなりチャレンジングな試みになるとみられていました。1998 KY26がさらに小さく、さらに高速で自転しているとなると、タッチダウンなどはより難しくなるとみられます。

こちらは、はやぶさ2が探査を行った小惑星リュウグウと1998 KY26を比較したアニメーションです。Credit: ESO/M. Kornmesser. Asteroid models: T. Santana-Ros, JAXA/University of Aizu/Kobe University

なお、はやぶさ2は1998 KY26へ向かう途中、2026年7月には小惑星トリフネ(2001 CC21)をフライバイ探査することになっています。

(参考)はやぶさ2が新たに目指す微小小惑星を、すばる望遠鏡が撮影

(参照)ESO