ほとんどの銀河の中心部には太陽の100万倍から100億倍の質量を持つ「超大質量ブラックホール(supermassive black holes、SMBHs)が存在すると考えられています。SMBHsは銀河の中で形成され、星やガスを飲み込んだり、別のブラックホールと合体したりするなどして成長すると考えられており、その場合、質量の上限が太陽の100億倍とみられています。
クイーンメアリー大学のBernard Carr氏らは、その上限を回避する、SMBHsの別の形成方法の可能性を提案しました。研究チームは、「SLABs(stupendously large black holes)」と呼ばれる途方もなく巨大なブラックホールが、宇宙初期に形成された原始ブラックホールである可能性を示しました。原始ブラックホールは星の崩壊によって形成されるわけではなく、非常に小さなものから途方もなく巨大なものまで、さまざまな質量を持つ可能性があるとのことです。
Carr氏は「今のところSLABsが存在する証拠はありません。しかし存在する可能性は十分考えられますし、銀河の外側の銀河間空間にSLABsが存在する可能性も考えられます」としています。またSLABsの存在がダークマター(暗黒物質)の正体に迫る可能性にも言及しています。
Image Credit: NASA, ESA, and D. Coe, J. Anderson, and R. van der Marel (STScI)