アルテミス1ミッションのオリオン(オライオン)宇宙船とともに打ち上げられた10のキューブサットの1つ、日本の「EQUULEUS(エクレウス)」が月面の撮影に成功しました。月でのフライバイの際、2022年11月22日午前2時5分(日本時間)に約5550kmの距離から撮影された画像です。月面の昼夜境界付近が映っており、太陽光が低い角度から当たっているためクレーターの凹凸がくっきりと見えています。
こちらは月の東経120度を中心とした画像で、白枠はEQUULEUSで撮影された範囲を示したものです。撮影されたのは月の裏側、北緯15度・東経120度付近の領域です。この画像では月面の左端近くに、地球からも見ることができる「危機の海」や「豊かの海」が見えています。なお画像はNASA(アメリカ航空宇宙局)のルナー・リコネッサンス・オービターのデータをもとに作成されたものです。
キューブサットは10×10×10cmを1ユニット(1U)として規格化されていますが、EQUULEUSは6Uの超小型衛星です。地球ー月ラグランジュ点に向けて航行する軌道制御技術の実証が主な目的ですが、極端紫外光を撮像する望遠鏡「PHOENIX」や、可視光カメラシステム「DELPHINUS」も搭載されています。
冒頭の月面の画像はDELPHINUSで撮影されました。DELPHINUSは月面衝突閃光の観測のためのビデオ撮影のほか、ミニムーンや地球近傍小天体などの観測用の長時間シャッターモードや近接撮像を行う高速シャッターモードも搭載しています。今回のフライバイの際の月面の撮影は、その高速シャッターモードで行われました。