月の裏側からサンプルを持ち帰る中国の月探査機「嫦娥6号」

月の裏側からサンプル(試料)を持ち帰ろうという中国の月探査機「嫦娥6号」が、2024年5月3日に打ち上げられました。月の裏側からサンプルを採取して持ち帰ることに成功すれば世界初の成果となります。

月はつねにほぼ同じ面を地球に向けています。そのため月の裏側を地球から見ることはできません。中国は2020年、嫦娥5号によって月面のサンプルを持ち帰ることに成功しています。ただこの嫦娥5号やかつてのアメリカのアポロ計画など、月面からのサンプルの持ち帰りはすべて月の表側(地球側)で行われました。

月の表側の場合、つねに地球と通信ができます。しかし月の裏側の場合、着陸船と直接通信することはできません。そのため中国は今年3月、通信を中継するための鵲橋2号を打ち上げました。鵲橋2号は月を周回しながら、嫦娥6号と地球との間の通信を中継します。

嫦娥6号は、「南極-エイトケン盆地」と呼ばれる直径約2500kmもの巨大盆地の中にあるアポロ・クレーター(直径約524km)付近に着陸する予定です。ミッションは53日間が予定されており、月面からは最大2kgのサンプルを持ち帰ることになっています。

嫦娥6号は、周回機、着陸船、上昇機、再突入カプセルの4つの要素で構成されています。嫦娥6号は月軌道に到着後、着陸船と上昇機が月面に降りていきます。ロボットアームとドリルを使って採取されたサンプルは、上昇機内の容器に収納されます。その後、上昇機は月軌道へ上昇し、待機していた再突入カプセルとドッキング。サンプルをカプセルに移したのちに周回機とカプセルは月軌道から地球へ帰還、再突入カプセルが地球に戻されます。

(参照)中国国家航天局(1)(2)NASA