太陽からの距離とサイズ
太陽系に8つある惑星の中で、天王星は太陽から数えて7番目の惑星です。太陽からは平均して約28億6700万km、約19.17天文単位離れたところを公転しており、太陽のまわりを約84年かけて1周しています。なお天文単位は太陽系内での距離を示すときによく使われる単位で、1天文単位は太陽〜地球間の距離に相当する約1億5000万kmです。
天王星の赤道半径は2万5559kmで地球の約4倍。惑星の中では木星、土星についで3番目の大きさです。質量は86.81×1024kgで、地球の14.5倍あります。惑星の中では木星、土星、海王星についで4番目の重さです。自転周期は17.2時間。
自転軸が横倒し
天王星の大きな特徴は、自転軸が約98度傾いており、ほぼ横倒しになっていることです。そのため天王星の南北の極地方は、公転周期の半分の約42年ずつ昼と夜が続きます。天王星だけでなく、リングや衛星の軌道も横倒しになっています。かつて他の天体が衝突した結果、自転軸が横倒しになったとも考えられていますが、はっきりしたことは分かっていません。
28個の衛星と13本のリング
天王星の衛星は28個知られています。アリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロン、ミランダの5つは比較的大きな衛星で、「5大衛星」と呼ばれています。内側の衛星の組成は、氷と岩石が半々であるとみられています。外側の衛星の組成は不明ですが、それらは小惑星が天王星に捕獲されたものではないかとみられています。
5大衛星のうち、ミランダを除く4つの衛星では、地下に海がある可能性が指摘されています。(参考記事)天王星の4衛星の地下に海が存在する可能性
他の惑星を周回する衛星の多くはギリシア神話やローマ神話に由来する名前を持っていますが、天王星の衛星は、ウィリアム・シェークスピアとアレクサンダー・ポープの作品に登場するキャラクターにちなんで名付けられています。
(参考記事)天王星と海王星の衛星を新たに発見
天王星には13本の淡いリングがあることが知られており、惑星に近い側からζ(ゼータ)、6、5、4、α(アルファ)、β(ベータ)、η(イータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)、λ(ラムダ)、ε(イプシロン)、ν(ニュー)、μ(ミュー)と名付けられています。
天王星は「巨大氷惑星」
天王星は、最果ての海王星とともに「巨大氷惑星」に分類されています。岩石からなる小さな核のまわりに、水やメタン、アンモニアなどの氷からなるマントルがあり、その外側を大気が取り巻いています。
天王星は海王星よりもわずかに大きい一方で、質量は海王星よりも小さな天体です。太陽系の惑星の中で、天王星の密度(1270kg/m3)は土星(687kg/m3)についで2番目に低くなっています。
主に水素とヘリウムからなる大気
大気のほとんどは水素とヘリウムで、そのほかに少量のメタンとわずかな量の水やアンモニアが含まれています。天王星が青く見えるのは、大気中にメタンがあるためです。メタンが太陽光の赤色の成分を吸収することで、青緑色に見えています。
(参考記事)「天王星と海王星の色はなぜ違う?」「天王星と海王星の色は実は非常に似ている!?」
天王星の表面温度(大気圧が1バールとなる高度の温度)は76K(マイナス197℃)です。天王星で吹く風は時速900kmに達することがあります。赤道付近では、惑星の自転とは逆方向の風が吹いていますが、極に近づくと自転の方向と同じ方向に風が吹いています。