木星氷衛星探査機JUICEが航法カメラでとらえた恒星間天体アトラス彗星(3I/ATLAS) | アストロピクス

木星氷衛星探査機JUICEが航法カメラでとらえた恒星間天体アトラス彗星(3I/ATLAS)

この画像は、木星に向かって航行中の木星氷衛星探査機JUICEが恒星間天体アトラス彗星(3I/ATLAS)とらえたものです。JUICEは5つの科学機器で彗星を観測しましたが、画像は科学機器によるものではなく、ナビゲーションカメラ(航法カメラ、NavCam)でとらえたものです。NavCamは、2031年に木星系へ到着したのちに高精度なナビゲーションに使うためのカメラです。

科学観測用の機器でないにも関わらず、NavCamの画像には「コマ」がはっきりと映っていました。コマは、彗星が太陽に近づいて核から噴き出したガスや塵が核の周りを取り巻いたものです。

画像にはまた、2本の尾とみられるものも映っています。画像の上の方に向かって電荷を帯びたガスからなるプラズマの尾が、左下の方に向かって塵からなる塵の尾が伸びている可能性があります。

画像は2025年11月2日に撮影されました。JUICEが彗星に最接近したのは、その2日後の11月4日のことでした。最接近時、探査機は彗星から約6600万kmのところに位置していました。

こちらはコマとプラズマの尾、塵の尾の位置を示したものです。右上の枠内はJUICEやアトラス彗星の軌道と、観測時の探査機と彗星の位置を示したものです。

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科学機器がとらえたデータ受信は2026年2月の予定

科学観測用のカメラも含めた5つの科学機器のデータは、2026年2月に受信できる予定とのことです。JUICEは現在、太陽の熱から機体を守るためにメインの高利得アンテナを熱シールドとして利用しており、大容量のデータを送信できない状態にあります。冒頭のNavCam画像は、小型の中利得アンテナを使って送信されました。

(参照)
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Image Credit: ESA/Juice/NavCam

(参照)ESA