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木星の衛星エウロパの探査を目指して2024年10月に打ち上げられたNASA(アメリカ航空宇宙局)の探査機エウロパ・クリッパーが、2025年3月1日に火星でスイングバイを実施します。スイングバイは、惑星など天体の重力を利用して探査機を加速したり減速したり、方向を変えたりする技術のことです。
エウロパ・クリッパーは3月1日17時57分(世界時、日本時間3月2日2時57分)に火星へ最接近します。最接近時、エウロパ・クリッパーは火星表面から884kmのところを通過します。秒速約24.5kmで火星へ接近し、火星から離れる際の速度は秒速約22.5kmとなります。今回の火星でのスイングバイ時には、熱放射計の較正や、レーダー機器の動作テストなども行われます。
エウロパ・クリッパーは、2026年12月には地球でのスイングバイを予定しています。そこでは探査機の速度を上げ、2030年4月に木星の軌道に到着する予定です。
エウロパ・クリッパーの主な目的は、エウロパの地下に生命を育める場所があるかどうかを調べることです。木星を周回しながらエウロパに約50回接近し、エウロパの氷の地殻とその下にある海の性質、および衛星の組成と地質などを調査します。
エウロパ・クリッパーについての詳細は、次の記事をご覧ください。→「木星の衛星エウロパは生命に適した環境なのか 探査機エウロパ・クリッパー打ち上げ」
Image Credit: NASA/JPL-Caltech
(参照)NASA